条文目次 このページを閉じる


○札幌市脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進のための市税の課税の特例に関する条例
令和6年12月11日条例第53号
札幌市脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進のための市税の課税の特例に関する条例
(目的)
第1条 この条例は、地方税法(昭和25年法律第226号。以下「法」という。)第6条第1項の規定に基づき、法人市民税、固定資産税、事業所税及び都市計画税の課税について、札幌市税条例(昭和25年条例第44号。以下「市税条例」という。)の特例等に関する事項を定めることにより、地域における自然環境及び生活環境との調和の下に、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する投資の促進に寄与する産業及び金融機能の集積並びに当該産業に係る供給網の構築を図り、もって経済の活性化に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例における用語の意義は、市税条例で定めるもののほか、次に定めるところによる。
(1) GX 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(令和5年法律第32号)第2条第1項に規定する脱炭素成長型経済構造への円滑な移行をいう。
(2) GX産業 GXに資する投資の促進に寄与する産業をいう。
(3) 特定事業 次のいずれかに該当する事業をいう。
ア GX産業のうち北海道が有する再生可能エネルギー(北海道地球温暖化防止対策条例(平成21年北海道条例第57号)第2条第6号に規定する再生可能エネルギーをいう。以下この号において同じ。)の潜在力を有効に活用する事業であって、規則で定めるもの(以下「GX事業」という。)
イ 市内において、GX産業のうち北海道が有する再生可能エネルギーの潜在力を有効に活用する事業に係る投資その他の金融サービスを提供する事業又は情報技術を用いた革新的な金融サービスを提供する事業であって、規則で定めるもの(以下「金融事業」という。)
(4) 革新的特定事業 特定事業のうち、新たな価値又は経済社会の変化をもたらす革新的な事業として市長が定めるものをいう。
(5) 特定事業者 次のいずれかに該当する事業者をいう。
ア GX事業を営み、若しくは営もうとする法人(法第294条第1項第5号に掲げる者並びに同条第8項及び法第701条の32第3項の規定により法人とみなされるものを含む。以下同じ。)又はGX事業を営む法人を設立しようとする者
イ 金融事業を営み、若しくは営もうとする法人又は金融事業を営む法人を設立しようとする者
(特定事業計画の認定)
第3条 特定事業者は、規則で定めるところにより、特定事業に関する計画(以下「特定事業計画」という。)を作成し、市長の認定の申請をすることができる。
2 特定事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
(1) 特定事業者に関する事項
(2) 特定事業の内容
(3) 特定事業の実施場所
(4) 特定事業の計画期間
(5) 特定事業に係る土地、家屋又は償却資産の取得に関する事項
(6) 特定事業計画の実施に伴う労務に関する事項
(7) 特定事業の実施に必要な資金の額及びその調達方法
(8) 前各号に掲げるもののほか、規則で定める事項
3 市長は、第1項の申請があった場合において、当該申請に係る特定事業計画が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。
(1) GX産業及び金融機能の集積並びにGX産業に係る供給網の構築を図り、経済の活性化に資するものとして、規則で定める要件に適合するものであると認められること。
(2) 地域における自然環境及び生活環境との調和が図られ、円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。
(3) 特定事業の実施により常時雇用する者の数(以下「市内雇用者数」という。)が規則で定める数以上に増加することが見込まれるものであることその他雇用する者に関し規則で定める要件に適合するものであること。
4 前項の規定にかかわらず、第1項の申請をした特定事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、市長は、前項の認定をしないものとする。
(1) 市税の滞納があるとき。
(2) 札幌市暴力団の排除の推進に関する条例(平成25年条例第6号)第2条第1号の暴力団(法第294条第1項第5号に掲げる者にあっては、同条例第2条第2号の暴力団員)又は同条例第7条第1項の暴力団関係事業者であるとき。
(3) 前2号に掲げるもののほか、規則で定める事由に該当するとき。
5 市長は、第3項の認定をしたときは、速やかに、その旨を当該認定を申請した特定事業者に通知するものとする。
(認定特定事業計画の変更)
第4条 前条第5項(次項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受けた特定事業者(以下「認定特定事業者」という。)は、同条第3項又はこの項の規定による認定を受けた特定事業計画(以下「認定特定事業計画」という。)の変更をしようとするときは、規則で定めるところにより、市長の認定を受けなければならない。ただし、規則で定める軽微な変更については、この限りでない。
2 前条第3項から第5項までの規定は、前項の認定について準用する。
(認定特定事業の開始等の届出)
第5条 認定特定事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、規則で定めるところにより、それぞれ当該各号に定める行為をした日から30日以内に、その旨を市長に届け出なければならない。
(1) 第3条第3項の認定を受けた日から令和15年3月31日までの間に認定特定事業計画に係る特定事業(以下「認定特定事業」という。)の事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を設置したとき。
(2) 前号の事務所等を設置した日の翌日から起算して1年以内に当該事務所等を認定特定事業の用に供したとき。
(3) 第3条第3項の認定を受けた日から令和15年3月31日までの間に認定特定事業(GX事業であるものに限る。次号及び第5号において同じ。)の事務所等の用に供する予定の家屋若しくはその敷地である土地又は償却資産若しくはその敷地である土地を取得したとき。
(4) 認定特定事業に係る土地の取得(この条例の施行の日以後の取得に限る。)の日の翌日から起算して1年以内に当該土地を敷地とする家屋の建設又は償却資産の設置に着手したとき。
(5) 第3号の家屋又は償却資産の取得をした場合にあっては、当該取得の日の翌日から起算して1年以内に当該家屋又は当該償却資産を認定特定事業の用に供したとき。
(認定特定事業の報告等)
第6条 次に掲げる者は、規則で定めるところにより、毎事業年度終了後、認定特定事業に係る事業報告書を作成し、市長に提出しなければならない。ただし、前条第5号の規定による届出をした認定特定事業者であって、当該事業報告書を提出する対象である事業年度(以下「報告事業年度」という。)の終了の日より前に固定資産税の最初の賦課期日が到来するものは、規則で定めるところにより、当該賦課期日が到来する日の属する月の末日までに認定特定事業に係る事業報告書を作成し、市長に提出しなければならない。
(1) 前条第2号又は第5号の規定による届出をした認定特定事業者
(2) 認定特定事業者(前号に掲げる者を除く。)であって、革新的特定事業を営むもの(以下「認定革新的特定事業者」という。)
2 前項の事業報告書には、規則で定めるところにより、報告事業年度の末日(同項ただし書の規定により事業報告書を提出する場合にあっては、前条第5号の家屋又は償却資産を認定特定事業の用に供した日)における市内雇用者数その他の認定特定事業の実施状況に関する事項を記載しなければならない。
3 市長は、第1項の事業報告書の提出を受けたときは、前条の規定による届出の状況及び当該事業報告書の内容を踏まえ、規則で定めるところにより、次に掲げる事項及び課税免除の対象となる市税目を決定するものとする。
(1) 認定特定事業者の報告事業年度の末日における市内に有する事務所等において認定特定事業に従事する従業者(俸給、給料若しくは賞与又はこれらの性質を有する給与の支給を受けることとされている役員を含む。以下同じ。)の数を当該報告事業年度の末日における市内に有する事務所等において当該認定特定事業者が営む全ての事業に従事する従業者の数で除して得た割合(以下「法人市民税認定特定事業割合」という。)
(2) 認定特定事業者の報告事業年度の末日における認定特定事業の用に供する事業所床面積
(3) 認定特定事業者の報告事業年度における認定特定事業に従事する従業者に支払った従業者給与総額
(4) 認定特定事業者(第2条第5号アに該当する事業者に限る。次号、第12条及び第16条において同じ。)が認定特定事業計画に基づき取得した家屋、当該家屋に占める認定特定事業の用に供する部分及びその面積並びにその敷地である土地
(5) 認定特定事業者が認定特定事業計画に基づき取得した認定特定事業の用に供する償却資産及びその敷地である土地
(認定特定事業の廃止等の届出)
第7条 認定特定事業者は、認定特定事業を廃止し、休止し、又は休止した認定特定事業を再開しようとするときは、規則で定めるところにより、あらかじめ、市長に届け出なければならない。
(認定の取消し)
第8条 市長は、認定特定事業者が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、認定特定事業計画の認定を取り消すことができる。
(1) 令和15年3月31日までに認定特定事業に係る事務所等の設置又は事務所等の用に供する家屋若しくは償却資産の取得の事実が確認できないとき。
(2) 認定特定事業計画が第3条第3項各号のいずれかに適合しなくなったとき。
(3) 第3条第4項各号のいずれかに該当することとなったとき。
(4) 前条の規定による廃止の届出があったとき。
(5) 偽りその他不正の手段により、第3条第3項若しくは第4条第1項の認定を受け、第5条の規定による届出をし、又は第6条第1項の事業報告書を提出したとき。
(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が認定を取り消すことが適当であると認めるとき。
2 市長は、前項の規定による取消しをしたときは、速やかに、その旨を認定特定事業者に通知するものとする。
(認定GX事業者への法人市民税の課税免除)
第9条 第6条第3項の決定を受けた認定GX事業者(認定特定事業者のうち第2条第5号アに該当する事業者をいい、認定革新的特定事業者を除く。以下同じ。)に対して課す法人市民税については、認定特定事業を開始した日(当該認定特定事業が既にこの条例の規定による課税免除を受けた認定特定事業を譲り受けたものであると市長が認めるときは、市長が定める日。以下この条、次条、第13条及び第14条において同じ。)の属する事業年度の初日から10年以内に終了する各事業年度(第3条第3項の認定を受けた日の属する事業年度以後の事業年度に限り、当該事業年度中に前条の規定により認定を取り消された場合にあっては、当該認定を取り消された事業年度の前年度までの事業年度とする。以下この条、次条、第13条及び第14条において同じ。)に限り、当該事業年度に係る法人税割額のうち、当該法人税割額に当該事業年度における法人市民税認定特定事業割合を乗じて得た額に、次の表の左欄に掲げる事業年度の区分に応じ同表右欄に定める割合を乗じて得た額に相当する額を課さない。

事業年度

割合

認定特定事業を開始した日の属する事業年度の初日から5年以内に終了する事業年度

10分の10

認定特定事業を開始した日の属する事業年度の初日から5年を超え10年以内に終了する事業年度

2分の1

(認定金融事業者への法人市民税の課税免除)
第10条 第6条第3項の決定を受けた認定金融事業者(認定特定事業者のうち第2条第5号イに該当する事業者をいい、認定革新的特定事業者を除く。以下同じ。)に対して課す法人市民税については、認定特定事業を開始した日の属する事業年度の初日から10年以内に終了する各事業年度に限り、当該事業年度に係る法人税割額のうち、当該法人税割額に当該事業年度における法人市民税認定特定事業割合を乗じて得た額に相当する額を課さない。
(認定革新的特定事業者への法人市民税の課税免除)
第11条 第9条の規定は、第6条第3項の決定を受けた認定革新的GX事業者(認定革新的特定事業者のうち第2条第5号アに該当する事業者をいう。以下同じ。)に対して課す法人市民税について準用する。この場合において、第9条中「認定GX事業者(認定特定事業者のうち第2条第5号アに該当する事業者をいい、認定革新的特定事業者を除く。以下同じ。)」とあるのは「認定革新的GX事業者」と、「認定特定事業を開始した日(当該認定特定事業が既にこの条例の規定による課税免除を受けた認定特定事業を譲り受けたものであると市長が認めるときは、市長が定める日。以下この条、次条、第13条及び第14条において同じ。)」とあるのは「その法人の設立の日」と、同条の表中「認定特定事業を開始した日」とあるのは「法人の設立の日」と読み替えるものとする。
2 前条の規定は、第6条第3項の決定を受けた認定革新的金融事業者(認定革新的特定事業者のうち第2条第5号イに該当する事業者をいう。以下同じ。)に対して課す法人市民税について準用する。この場合において、前条中「認定金融事業者(認定特定事業者のうち第2条第5号イに該当する事業者をいい、認定革新的特定事業者を除く。以下同じ。)」とあるのは「認定革新的金融事業者」と、「認定特定事業を開始した日」とあるのは「その法人の設立の日」と読み替えるものとする。
(固定資産税の課税免除)
第12条 第6条第3項の決定を受けた認定特定事業者が所有者である同項第4号の部分及び同項第5号に規定する償却資産並びにこれらの敷地である土地(以下この条及び第16条において「対象固定資産」という。)に係る固定資産税については、当該対象固定資産を認定特定事業の用に供した日(当該認定特定事業者が営む認定特定事業が既にこの条例の規定による課税免除を受けた認定特定事業を譲り受けたものであると市長が認めるときは、市長が定める日。以下この条において同じ。)の属する年の翌年の1月1日(当該対象固定資産を認定特定事業の用に供した日が1月1日の場合には、同日。以下この条において同じ。)を賦課期日とする年度以後10年度以内の各年度(第3条第3項の認定を受けた日の属する年の翌年の1月1日を賦課期日とする年度以後の年度に限り、第8条の規定により認定を取り消された場合にあっては、当該認定を取り消された日の属する年の1月1日を賦課期日とする年度までの年度とする。以下この条において同じ。)の年度分に限り、当該年度に係る固定資産税額のうち、対象固定資産に係る固定資産税額に次の表の左欄に掲げる年度の区分に応じ同表右欄に定める割合を乗じて得た額に相当する額を課さない。

年度

割合

対象固定資産を認定特定事業の用に供した日の属する年の翌年の1月1日を賦課期日とする年度以後5年度以内の年度

10分の10

対象固定資産を認定特定事業の用に供した日の属する年の翌年の1月1日を賦課期日とする年度以後5年度を超え10年度以内の年度

2分の1

(認定GX事業者への事業所税の課税免除)
第13条 第6条第3項の決定を受けた認定GX事業者に対して課す事業所税については、認定特定事業を開始した日の属する事業年度の初日から10年以内に終了する各事業年度に限り、当該事業年度に係る事業所税のうち、資産割額にあっては当該事業年度に係る同項第2号の事業所床面積に次の表の左欄に掲げる事業年度の区分に応じ同表右欄に定める割合を乗じて得た事業所床面積に1平方メートルにつき600円を乗じて得た額に相当する額を、従業者割額にあっては当該事業年度に係る同項第3号の従業者給与総額に同表左欄に掲げる事業年度の区分に応じ同表右欄に定める割合を乗じて得た従業者給与総額に100分の0.25を乗じて得た額に相当する額を課さない。

事業年度

割合

認定特定事業を開始した日の属する事業年度の初日から5年以内に終了する事業年度

10分の10

認定特定事業を開始した日の属する事業年度の初日から5年を超え10年以内に終了する事業年度

2分の1

(認定金融事業者への事業所税の課税免除)
第14条 第6条第3項の決定を受けた認定金融事業者に対して課す事業所税については、認定特定事業を開始した日の属する事業年度の初日から10年以内に終了する各事業年度に限り、当該事業年度に係る事業所税のうち、資産割額にあっては当該事業年度に係る同項第2号の事業所床面積に1平方メートルにつき600円を乗じて得た額に相当する額を、従業者割額にあっては当該事業年度に係る同項第3号の従業者給与総額に100分の0.25を乗じて得た額に相当する額を課さない。
(認定革新的特定事業者への事業所税の課税免除)
第15条 第13条の規定は、第6条第3項の決定を受けた認定革新的GX事業者に対して課す事業所税について準用する。この場合において、第13条中「認定GX事業者」とあるのは「認定革新的GX事業者」と、「、認定特定事業を開始した日」とあるのは「、その法人の設立の日」と、同条の表中「認定特定事業を開始した日」とあるのは「法人の設立の日」と読み替えるものとする。
2 前条の規定は、第6条第3項の決定を受けた認定革新的金融事業者に対して課す事業所税について準用する。この場合において、前条中「認定金融事業者」とあるのは「認定革新的金融事業者」と、「認定特定事業を開始した日」とあるのは「その法人の設立の日」と読み替えるものとする。
(都市計画税の課税免除)
第16条 第6条第3項の決定を受けた認定特定事業者が所有者である対象固定資産に係る都市計画税の課税については、第12条の固定資産税の例による。
(他の条例との調整)
第17条 この条例の規定による課税免除は、他の条例の規定による課税免除を受けることができるときはその課税免除の限度において、行わない。
(報告徴収及び立入検査)
第18条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、認定特定事業者に対し、認定特定事業に関し必要な事項の報告を求め、又はその職員に、認定特定事業者の事務所等その他の当該認定特定事業を行う場所に立ち入らせ、帳簿書類その他の必要な物件を検査させ、若しくは関係者に対して質問させることができる。
2 前項の規定により立入り、検査等を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(委任)
第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附 則
この条例は、令和7年4月1日から施行する。



このページの先頭へ 条文目次 このページを閉じる