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更新日:2025年2月10日

令和7年1月27日臨時市長記者会見記録

日時

2025年1月27日(月曜日)14時00分~15時02分

場所 記者会見室
記者数

19人

市長から下記の話題について発表しました

配布資料

動画(内容の文字掲載は現在準備中です。

会見動画(市長からの話題・質疑応答)を見る(YouTubeへのリンク)

引き続き、次の話題について質疑が行われました。

発表内容

令和7年度予算・定数・機構編成、令和6年度補正予算案について 

 まず、令和7年度(2025年度)予算の概要についてでありますが、2ページ目の令和7年度予算のポイントをご覧いただきたいと思います。

 令和7年度予算につきましては、「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン・アクションプラン2023」に掲げた事業を着実に推進するとともに、新たな行政課題に的確に対応するものとして、編成しました。

 五つの柱として、「子ども・子育て支援」「GX・経済活性化」「ウェルネス・ユニバーサル・スマート」「安全・安心」「喫緊の課題への対応」について積極的に計上したところであります。

 3ページの予算規模でありますけれども、令和7年度の当初予算の総額は、一般会計で1兆2666億円となり、前年度(2024年度)と比較して2.0%の増と、過去最大の予算規模となりました。また、全会計では1兆9761億円、2.3%の増となります。

 4ページからは、予算の柱に沿って説明させていただきます。

 なお、国の補正予算を活用し、令和6年度(2024年度)補正予算におきまして、物価高騰対策等を実施いたしますので、補正予算の内容も併せて説明いたします。

 4ページでありますが、一つ目の柱は、「子ども・子育て支援」であります。

 まず、「子ども・子育て世帯への支援充実」として、子ども医療費助成について、高校生世代の通院・入院に係る医療費を対象に追加しました。

 また、病児・病後児保育利用者の利便性を向上させるためにスマートフォンなどオンライン上で利用予約などを簡単に行えるシステムを導入いたします。

 次に「保育・教育の環境整備」でありますが、学校や保育所、児童会館等の新改築や更新などを引き続き行い、また、安藤忠雄氏が北海道大学構内に建築して、寄付いたします「(仮称)こども本の森」の開設に向けた準備を進めます。

 加えて、子どもを見守る体制を整備するために、里親支援センターや社会的養護自立支援拠点の設置によって、児童相談機能の拡充を図ってまいります。

 続いて5ページであります。

 二つ目の柱は、「GX・経済活性化」であります。

 GX投資については、北海道が持つ国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを最大限に活用し、日本の再生可能エネルギー供給基地やアジア・世界の金融センターの実現に向けて、資産運用会社等の誘致やGX事業等認証制度の構築を行います。

 次に、「札幌経済の活性化と持続可能な観光振興」として、半導体・デジタル関連産業の拠点形成に向けた人材育成や研究開発支援、関連する企業の誘致を進めます。

 また、さらなる観光振興に向けて、観光地域づくり法人でありますDMOの令和8年度(2026年度)の設立に向けた準備や、観光需要の増加を踏まえオーバーツーリズムを未然に防止・抑制するための検討を進めます。

 続いて6ページでありますが、「街の新たな魅力と賑わいの創出」として、再開発事業への支援によって、民間投資を最大限活用した土地の高度利用と、都市機能の更新を図ってまいります。この他、北海道新幹線の推進、札幌駅周辺の開発を踏まえた新たな公共交通システムの構築に向けた実証実験などに取り組んでまいります。

 続いて7ページですが、三つ目の柱は、「ウェルネス・ユニバーサル・スマート」であります。

 まず、「健康で楽しい毎日の実現」に向けて、健康寿命の延伸に向けたモニター事業の実施や、老人クラブの活動に対する補助を拡充いたします。

 次に、プロスポーツチームとの連携などにより、市民がスポーツを見る機会を創出するとともに、大和ハウス プレミストドームを活用した集客イベントや市民参加イベント等の開催を支援するほか、大倉山ジャンプ競技場での国際大会の継続開催のための改修設計を行うとともに、ノーマルヒルの併設化に向けた環境保全対策の検討を進めます。

 また、「みんなでつくる共生社会」として、外国人相談窓口の運営などを通じ、暮らしの不安の解消に努めるほか、アイヌ民族の交流、伝統文化の継承の場などである施設の整備を進めてまいります。

 さらに「スマートな行政サービスの促進」として、来月(2月)にオープンします中央区役所新庁舎において、来庁者の申請書等への記載の負担軽減や複数窓口で手続きを行う際の待ち時間の短縮に向けたサービスアップを推進いたします。

 続いて8ページでありますが、四つ目の柱は、「安全・安心」であります。

 まず、「災害の発生に備えた取組」として、防災・減災のため、災害対応の迅速化・高度化を図る「防災デジタルプラットフォーム」の導入や積雪寒冷期の災害対応を想定した総合防災訓練を冬期に実施いたします。

 加えて、「安全・安心なまちづくり」として、優先度が高い避難行動要支援者の個別避難計画の作成を推進するほか、在宅酸素療法患者や透析患者受け入れなどの、災害医療体制の整備を進めてまいります。

 さらに、「雪対策」については、引き続き道路や気象の状況に応じて臨機に対応できる体制を整えるほか、除排雪作業の効率化・省力化に取り組んでまいります。

 次に9ページであります。

 最後の柱は、「喫緊の課題への対応」であります。

 まず、「人口減少緩和に向けた取組」ですが、札幌市として初めて、地域おこし協力隊の活用による移住促進など、人口減少の緩和の取り組みを推進します。

 また、市民の最大の関心事である除排雪について、市民・事業者・専門家の意見を踏まえ、検討していくための審議会を立ち上げ、持続可能な除排雪体制の構築に取り組んでまいります。

 また、「公共交通ネットワークの確保」として、バス路線の維持に関する補助を拡充するとともに、廃止となった路線に対する代替交通等の導入や運転手の確保支援について、外国人材の受け入れも視野に入れながら進めてまいります。

 次に「物価高騰対策」として、昨年(2024年)の令和6年第4回定例市議会補正予算と、今回の令和7年(2025年)第1回定例市議会補正予算において、総額273億円を計上しております。

 先の4定補正で計上しました「住民税非課税世帯支援給付金」に加えて、令和6年度に実施した定額減税しきれない方への給付金において給付額が不足する方などへの給付金を支給してまいります。

 また、子育て世帯の負担軽減のために、学校給食における食材費の高騰分を公費負担することで保護者負担額を据え置きます。

 さらに、幅広い市民への支援として、家事用の水道料金について、基本料金2カ月分に相当する額を減額いたします。

 その他、北海道との役割分担となりますが、児童福祉施設などでの光熱費や食材費の高騰に対する支援を実施します。

 物価高騰対策事業の一覧につきましては、スライドでお示ししておりますので、ご確認いただきたいと思います。

 また、「人材確保・人材育成」として、人手不足業界であります、運輸、医療・福祉、建設業等の業界に対する支援を行うとともに、将来を見据えた人材確保対策として、多様な人材の確保や次代を担う人材の育成も、併せて実施してまいります。

 令和7年度予算のポイントについては以上であります。

 続いて10ページは、一般会計予算の歳入・歳出を図で説明したもの、11ページは扶助費と建設費の推移でありますので、後ほどご覧いただきたいと思います。

 12ページをご覧いただきたいと思います。

 市債残高と財政調整基金の残高、財政運営の取り組みによる効果額についてまとめております。

 まず左上のグラフは、市債残高であります。

 令和7年度末の残高は、全体で前年度から178億円増となる1兆6915億円を見込んでおります。建設債残高も、前年度から増加する見込みでありますが、アクションプラン2023で設定をしたベンチマークは下回る見通しです。

 右上のグラフは、財政調整基金の活用状況であります。

 令和7年度末残高は122億円と見込んでおり、アクションプラン2023で設定をしたベンチマークである100億円を上回る水準を維持できる見通しであります。

 なお、下段の表は財政運営、財政運営の取り組みによる効果額についてまとめたものでありますので後ほどご覧ください。

 次に、13ページ目につきましては、「事業見直しサイクル」による再構築の一覧、14ページについては、先の4定において、条例改正がなされた使用料・手数料等の改定の一覧となりますので、後ほどご覧いただきたいと思います。

 次に15ページでありますが、令和7年度予算を反映した中期財政フレームを掲載しております。

 下段の表を拡大したものをスライドに表示いたしますので、こちらをご覧いただきたいと思います。

 令和7年度の基金活用額は、扶助費・職員費の増加や、物価高騰の影響のほか、計画に計上していない事業の追加などにより272億円となる見込みであります。

 今後もこの傾向が見込まれますことから、令和9年度末(2027年度末)の基金残高は、アクションプランの想定額789億円を下回る639億円と見込んでおります。

 また、市債残高は、アクションプランの想定額1兆2161億円を大きく下回る1兆1403億円と試算をしております。

 今後も厳しい財政運営が続くと見込まれますことから、毎年の予算編成や予算執行の過程において一層の事業費の精査・節減や歳入の確保等の不断の見直しを行い、将来世代に過度な負担を残さないよう、基金および市債の残高を適切に管理してまいります。

 16ページ以降は、主な事業の説明を掲載しております。また、51ページには特別会計予算の概要、52ページと53ページには、企業会計予算の概要をそれぞれ掲載しておりますので、後ほどご覧ください。

 「令和7年度予算の概要」につきましては以上であります。

 なお、お手元の「令和6年度補正予算の概要」には、先ほどご説明した事業以外を含めた補正予算全般の内容を記載しておりますので、後ほどご覧ください。

 次に、「定数・機構編成」について説明させていただきます。

 まず、アクションプラン2023の取り組みや、その他重要政策の推進についてであります。「子ども・若者分野」では、児童相談所の体制強化として、令和7年9月下旬に予定しております2カ所目の児童相談所の開設に向け、部相当の組織を新設するほか、児童虐待相談等に迅速かつきめ細やかに対応していくために、児童福祉司や児童心理司等を増員いたします。

 地域分野では、官民連携推進体制の強化として、民間企業等との連携・協働による地域行政課題の解決をより一層推進していくために、まちづくり政策局公民・広域連携推進室の体制強化を図ります。

 「生活・暮らし分野」では、区役所をはじめとする全庁的なDXを推進し、市民サービスの向上や、業務効率化を図るために、庁内各部署の業務の見直しを支援する行政DX推進室を、デジタル戦略推進局内に新設いたします。

 また、複合的な福祉課題を抱える市民に対する支援体制の強化として、組織・分野横断的な支援につなげていく役割を担う支援調整課を4区に試行設置しておりましたけれども、全区に拡大します。

 重要政策の推進のための体制強化を行う一方で、効率的な業務執行体制の構築や業務の見直し等に伴う原因として、新型コロナウイルス関連業務の縮小や、給食調理業務の委託拡大、駒岡清掃工場の運営・維持管理の包括委託化などによる減員を行います。

 以上の結果、職員定数は、令和6年度の2万2431人から2万2545人と114人の増加となります。

 その他の定数・機構編成につきましては、「令和7年度定数・機構編成の概要」を別紙にまとめておりますので、後ほどご覧いただきたいと思います。

質疑応答

敬老パス制度の見直しについて(1) 

北海道新聞

 昨年12月25日の記者会見(令和6年度第15回定例市長記者会見)で、敬老パスを再度見直す可能性について、来年度(2025年度)予算の中に一定程度の考え方を盛り込みたいとご発言されていました。

 この予算案を見ますと、健康アプリのモニター事業費などに3億4300万円も盛り込まれておりまして、あと今月(1月)20日までパブリックコメントも実施していましたけれども、あらためて今回の予算案にどのような狙いを持ってこの事業費を計上したのかお考えを伺いたいのと、あと結局この予算案で、敬老パスの見直し関連としていくら計上されているのかということも教えてください。

市長

資料「健康寿命の延伸に向けた取り組みの実施案」を指して(PDF:320KB)

 まず、パブリックコメントの概要について少しお話しさせていただきます。12月16日から今月20日までに寄せられた意見総数は523件と速報値で取りまとめております。

資料「健康寿命の延伸に向けた取り組みの実施案」を指して(PDF:391KB)

 この中で、左側のグラフは、今の実施案について賛成のご意見をいただいた方、真ん中のグラフは現行制度を維持してほしい方。それから一番右側のグラフは、現行制度そのものを廃止というご意見であります。これ見ていただきますと本当に多くの世代の方にご意見をいただいたということであります。

 現行制度の維持については、今、制度を利用されている70歳以上の方のご意見が圧倒的に多いわけであります。一方で今の制度を廃止すべきだというご意見もありますが、若い世代の方のご意見が多いということで、世代によってこの問題について意見が違うという状況でありました。

 一昨年(2023年)、健康寿命の延伸を目指していく形の中で、健康アプリの導入を提案させていただきました。そのときには今の敬老パスで行っている交通費の助成は健康アプリの中で、十分に従来のサービスが提供できるだろうという考えのもとに、今の敬老パスを全廃し、完全に移行することを提案させていただきました。

 しかしながら、このアプリに関する不安や、現行の敬老パスを存続してほしいという意見が多かったことから、昨年9月の段階で、健康アプリを導入しますが、現行の敬老パスを一定の見直しをさせていただいた上で存続するという提案をさせていただきました。

 このように今利用している方からすると、現状のサービスを維持してほしいという意見が多いということは十分承知しております。一方で他世代のご意見が違うということがありまして、今の提案させていただいている健康アプリを導入しつつも、現状の敬老パスを一定程度の見直しをして存続させる案について、多様な世代の方から賛同いただいてきました。実際使われている70歳以上の方についても、5割程度の賛同が得られています。

 このことから、当初提案をした敬老パスの全廃をするのではなくて、見直しをした上で制度を残すという現在の実施案について、市民の各世代から一定程度のご理解をいただいていると判断いたしました。

 そういうことから、年齢を70歳から75歳にする、利用上限額を4万円にするといった一定の見直しの案で令和8年度から実施させていただくべく、今回の予算案に健康アプリと同時に、従来の敬老パスのシステム改修に係る約9000万円を予算に計上しております。

 この敬老パスの見直しについて約1年半、いろいろ議論をさせて意見をいただいてきました。最終的にパブリックコメントの中で、いろいろな世代から実施案について支持をいただいたことから、今提案をさせていただいている内容で令和8年度から実施する前提で、今回の予算案の中にシステム改修費などを盛り込ませていただいたということです。

 実際の実施につきましては、システム改修を行った上で、令和8年度からの実施を目指し議会に提案をする考えでおります。

北海道新聞

 それでいくと健康アプリのモニター事業費などに3億4300万円あって、システムの改修の9000万円を合計すればいいという認識ですか。

市長

 そうです、別立てです。健康アプリの分が3億4300万円で、現行の敬老パスの(令和7年度当初予算の)事業費は約68億円という規模になっており、その中に現敬老パスのシステム改修費9000万円が入っているということです。

令和7年度予算・定数・機構編成、令和6年度補正予算案について(1) 

北海道新聞

 中期の財政運営について、財政調整基金は122億円となる見込みで、アクションプランで設定したベンチマークの100億円は上回るという認識だと思うのですけれども、この122億円というのは過去10年で最低水準であり、令和7年度末に、基金残高がアクションプランの想定額よりも100億円以上下回る見込みとなっています。この点の認識についていま一度ご説明いただきたいのと、財政の健全化、あと適正化に向けてどのように取り組んでいるのか、姿勢をお伺いできたらと思います。

市長

 今年度(2024年度)の一般会計予算は、予算総額が1兆2666億円で、過去最大の規模になりました。この内訳については、扶助費や職員費の増額、それから物価高騰の影響が大きくあります。

 そういう意味では、国からの交付金などを除いた財源である一般財源は、425億円の増額が必要になります。

 一方で、市税収入なども上がっていますけれども、歳入増が358億円ということですので、一般財源の必要額のほうが多く、基金の活用額が増えているという状況です。

 今後も、扶助費や社会保障関係の費用、児童手当も含めてですけれども、こういった社会保障費は増大していく傾向が続くだろうと見込んでいます。

 それから人件費を含めた物件費も増加していく傾向があると考えると、もちろん市税収入を上げていくための経済活性化のいろいろな手立て、税源涵養(かんよう)をしていかなければいけませんけれども、これを上回る物価高騰分や歳出増を見込む事も考えていくと、基金残高を消費していく傾向が出てくるだろうと思います。

 そういった状況を考えると、歳出の中の事業の見直しや、歳出をより効果的にすることを一層進めていかなければ、やはり持続可能な財政状況は維持できないだろうと思っています。

 プラスマイナスという意味では、税収増もありますけれども、それを上回る物価の上昇や人件費の増額をカバーしていかなければならない、そういった厳しい財政状況にあるという認識の下にいろいろな事業を見直していく必要があると考えています。

北海道新聞

 アクションプランを作成したのは2023年末だったと思うのですが、市債残高を見ると、建設債の増加も大きく、物価高や資材の高騰もまだまだ続くと思われますが、アクションプランを想定したときより厳しいという認識はありますか。

市長

 アクションプランの策定時には、ここまでの人件費の増加や、物価高騰を想定した数字は上がってきておりませんので、一定程度の物価上昇は見込むにしても、それを上回る状況になってきているということだと思います。

 ですから、そういう厳しい状況が今後も続くという前提を持ちながら、毎年の予算編成・予算執行をより厳格に適正な執行に努めていかなければいけないと思っています。

 市債残高についても、臨時財政対策債のほうは国の税収が増えていることもあって、発行額が落ちてきていますけれども、建設の関係では、これから施設の建て替えなどが引き続き出てきますし、建設費の事業費そのものが相当膨らんできておりますので、全体のスピードも含めてコントロールしていかなければいけないと考えています。

北海道新聞

 建物なども老朽化がどんどん進み、建て替えなければならないなどのいろいろな事情があると思うのですけれども、それをカバーするべく事業の見直しにもスピード感を持って進めていくという認識でしょうか。

市長

 いろいろな施設の更新についても、長寿命化を図っていくなどしながら、できるだけ長く使っていくといった取り組みと同時に、建て替えをするときにも、事業費が非常に高くなってきているという事がありますので、これまで例えば10件できたものが6件しかできないといった状況が出てくると思います。

敬老パス制度の見直しについて(2) 

STV

 1点目として、敬老パスの見直しがどうして必要なのかをあらためてお伺いしたかったのと、2点目として、9月に見直し案を発表された後にも、いろいろと議論を深めたいということでパブリックコメントや市民対話の集会があったと思うのですが、一方でかなり世代間の対立を生んだのではないかという声も一定数あると伺っております。議論ではなく世代間の対立が深まったのではないかという声もある中で、市長はこれで議論が尽くされたと思われるのかというところと、市民の理解は大切だと思うのですが、それを今後、どのように丁寧に説明していきたいかを伺いたいと思います。

市長

 高齢者が増えていく中で、先ほども申しましたように、医療費を含めた社会保障の費用は増大していく傾向にあります。

 これをできるだけ抑えていくことを考えていく上で、健康寿命の延伸の効果的な施策を行っていくということは非常に重要だということから、このことを進めていく中で、健康アプリを導入することで、交通費助成に関わる従来のサービスを一定程度同じように提供できるという考えで、敬老パスから健康アプリに全面移行、ということを初めに提案させていただきました。

 今後、今の敬老パスの事業費を継続していけば、やはり将来の負担が増えていくということで、健康増進という観点と、一般財源からの歳出を抑えていくという二つの観点から見直しが必要だと判断してきました。

 そのときに敬老パスを全面廃止という提案については多くの不安の声をいただきましたことから、折衷案のような形で、敬老パスを一部見直した形で残すけれども、このままの制度・規模・制度設計では将来破綻してしまうことが明らかなので、見直さなければいけないということで、上限額や使用できる年齢などについて、見直しの提案をさせていただきました。

 世代間の対立を生んだのではないかという話ですが、対立を生んだというよりは、世代間によってそれぞれ受け止め方や考え方に違いがあることが明らかになったわけであり、そのことを双方が納得する形で一つの結論を出していくことが、これまでのプロセス、あるいは政治的に決定していく重要性だと思っています。

 そういった中で、もちろん、現状のまま見直しをしないでほしいという声があることも承知しておりますが、若い世代の意見の中には全廃してほしいという意見もあります。

 こういったことから、今の70歳の人たちが現役世代に負担していた1人当たりの事業費の額は今の若い人たちにも負担してください、ただ、一定程度それをしていくために、高齢者の方にも少し我慢してくださいという提案をしたのが見直し案です。

 このグラフにありますように、いろいろな世代の方が、双方の折り合いを付けるということに良いのではないかと考えたという傾向が見られたと判断をしております。

 従って、今まで約1年半議論してきましたけれども、各世代の皆さまの着地点ということについて、提案させていただいている内容で進めること、そのことが妥当なのではないかという判断をさせていただきました。

 これからもいろいろなご意見があると思いますが、今のようなお話を十分させていただきながら、納得いただくように説明していきたいと思っています。

令和7年度予算・定数・機構編成、令和6年度補正予算案について(2) 

朝日新聞

 新年度(2025年度)の市税は、定額減税の終了や働く高齢者の方の増加、賃上げなどで、来年度は増加する見込みだということでした。

 一方で、再来年度(2026年度)以降、103万円の壁の見直しの影響などが出てくるとも伺っております。

 市税の先行きへの受け止めや、あらためて市税増収のための取り組みとして、どのようなものが重要だとお考えなのか、今回の予算編成では、どのような部分でそれを打ち出されたのかというのを教えていただけたらと思います。

市長

 市税の(増加の)多くの部分は、個人の所得が増えることによる市民税の増加のウエートが非常に高いです。

 加えて固定資産税もありますが、法人の市町村税についてはそれほど大きくなく、そういう意味では、働く方が増えて、収入が増えていくということが、市税の増収につながります。雇用の場を増やし、働ける方がしっかりと働ける環境にしていくという意味では、103万円の壁についても、一定程度そこ(社会保険料の負担が増えるボーダーライン)で働くことをやめるのではなく、より働ける環境ができるということは、市税上でもプラスの面もあると思います。

 一方で、税源の見直しをすることによって、地方税にも影響が出てくる可能性がありますので、国の議論の中で、これまでも自治体を含めて地方への負担がない制度設計にしてほしいと要望しております。

 引き続き、この103万円の壁の問題については、地方に負担がないように国に求めていくことになりますが、市税全体を増やしていくためには、やはり働く人の数や収入が増えていくこと、雇用の拡大が重要だと思っています。

 そういう意味では、例えば、食や観光等の既存の産業において働く人を増やしていく、所得を増やしていくということが、市税の増収にもつながりますし、今進めているまちの再開発や(ビル等の)建て替えによって、雇用や固定資産税が増えることになっており、こういったことに資する予算編成も今回行いました。

 とりわけ、人手不足の業界が非常に多いということで、採用に関する取り組みは、本来は各企業が努力していただくことでありますけれども、例えば、バスの運転手の確保などを積極的に支援するなど、人材確保についても今回の予算の中に盛り込んだところであり、ひいては市税の増収にもつながっていくと思っています。

令和7年度予算・定数・機構編成、令和6年度補正予算案について(3) 

HTB

 (2024年1月に)今年度の予算案を発表された時に、市長は「リスタート予算」と名付けられましたが、新年度の予算については一言で言うとどのような予算だと思いますか。

市長

 何か名前を付けているところではないのですけれども、先ほど申しましたように、全体としていろいろな財政上の問題もありますので、持続可能な形にしていく予算という意味で、今回かなり意識して作ったつもりでおります。

敬老パス制度の見直しについて(3) 

北海道新聞

 敬老パスのパブリックコメントの結果で、実施案に賛同、現行制度の維持・廃止、世代別の割合を公表されておりました。

 パブリックコメントの性格上、賛否を問うものではないと思うのですが、賛否の内訳の公表は考えていらっしゃるのでしょうか。

市長

 全体集計をしておりますので、賛否等の内訳についてそれぞれ数字を公表させていただく予定でおりますし、個人情報は別として、どういう意見をいただいたのかについても、全件公表させていただきたいと思っています。

 そういった中で、今お話のように賛成・反対を投票する形ではありませんので、賛成が多かった、反対が多かったということではないですけれども、私が重視したいのは、どうしても世代間によって考え方にギャップがあり、ややもすると対立になりそうなテーマということでありましたので、この実施案であれば双方の世代が納得できるという形でご意見をいただいたことはとても重要だと思っています。

 いろいろな意味で、若い世代の方も高齢者を思っていただき、高齢者の方も一定程度の見直しは必要なのではないかとご理解いただいている、そういう世代間の着地点という意味では、非常にいろいろな世代の方にご意見をいただいたことに感謝したいと思っています。

北海道新聞

 今回の予算案が令和7年第1回定例市議会で可決した場合、敬老パスの制度現行案は、2026年度に新制度に移行するという理解でよいのでしょうか。あるいは、予算可決後、2026年4月までの間に再度見直す余地は残されているのでしょうか。

市長

 先ほど申しましたように、今回の予算案については、パブリックコメントを受け、昨年9月に提案をさせていただいた内容で、今後進めるという前提で議会に提出をしたいと思っています。

 ですから、議会でもいろいろなご意見・議論があろうかと思いますけれども、可決いただけるとすれば、これを前提に実施をしていくものと考えております。

北海道新聞

 この1年半の議論を振り返り、市議会や一部の市民の方からは、市が一昨年の11月に最初の見直し案を示した際に、健康アプリ導入の利点を強調されていて、スマートフォンの操作に不慣れな高齢の方の反発を招いたですとか、最初から財政難の話をもう少し打ち出していれば、市民理解が広がっていたのではないかとの指摘もあります。

 一連の議論の進め方について、市長として現在どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

市長

 冒頭に申し上げましたように、健康アプリを導入することによって、今の敬老パスで提供しているサービスと同様のものを提供できるだろう、そのことについてご理解いただけるだろうという前提で提案しましたけれども、そこについては、やはり見通しが甘かったのではないかと思います。

 現状の敬老パスの使い勝手がいいので、それを残してほしいという声が上がったということで、こうすると、今の敬老パスをずっと続けていくというのは、やはり財政的には厳しいということを言わざるを得なくなったということです。

 ですから、最初に敬老パスの見直し廃止を前提としたというよりは、健康寿命の延伸ということと、今受けているサービスと同様のものを提供できる、そういう制度設計を提案させていただいたのですけれども、そこには十分に理解を得られなかったということだと思います。

 例えば、今年予定している(健康アプリの)モニターを少し先行して実施し、使い方をある程度理解をいただいた上で提案していたら、もう少し理解が得られたのかもしれません。

令和7年度予算・定数・機構編成、令和6年度補正予算案について(4) 

北海道新聞

 公共交通ネットワーク確保対策、いわゆるバス対策について、補正予算額を含むと約29億円で昨年度の当初予算と比べて1.5倍計上されていますので、市長の肝いり(の政策)なのかなと思っております。

 まず、この予算の狙いを教えていただきたいのと、一方で、民間の赤字バス路線をどこまで公費で支援するのかという指摘の声も出ていますので今後の支援の考え方についても教えてください。

市長

 今回、公共交通のネットワークの維持は重要な課題という認識の下で予算を組み立てております。運転士の確保ができず、バス路線が減便されている、路線そのものがなくなっているという状況にありますけれども、なぜ人手を確保できないのかというと、やはり処遇・待遇の問題があります。

 昨年12月にバスの料金の値上げをさせていただいて、それを勤務条件等にプラスにしていってほしいと思いますが、それだけでは市民の足を維持できない状況にきていることから、今回は公共交通を確保するための対策を四つの視点でパッケージとしてまとめました。

資料「生活交通確保対策パッケージ」を指して(PDF:322KB)

 一つは、面的な公共交通ネットワークを維持していくということで、これまでは路線の補助も行ってきました。路線バスの民間事業者の皆さまに営業として頑張っていただくということがありますけれども、バスの料金は、公共料金で全ての値上げ分を自由に転嫁できない仕組みです。

 ですから、一定程度の助成、行政の支援がなければ維持できないだろうということで、面的にネットワークを維持すること、それから、最大限の運転手の確保に向けた取り組みについては、これまでも大型の運転免許の取得に対する補助なども行ってきておりますけれども、それに加えて、新規採用する方の就労一時金や、道外から移住して運転手になるといった支援についても予算に盛り込みました。

 それから、外国人材の受け入れも他の地域や市で始まっています。こういったことを視野に入れていかなければ、バス路線の維持ができないだろうということで、業界と一緒に取り組んでいくことについて、新たに挙げております。

 その他、路線の廃止になったところで、地域で独自にデマンドバスなどを立ち上げたいということで進んでおります。地域の皆さまが主体となって行うものについては、バス会社の補助ではなくて地域への支援も行います。

 それから、すぐにはできませんけれども、将来的には無人での運転など、新しい技術などにも取り組んでいくことで、この四つのパッケージとして、公共交通の維持に対して、これまでの補助の見直しをしつつ、プラスアルファをして、市民の足をしっかり守っていくということに今年取り組みたいと思っています。

北海道新聞

 大和ハウス プレミストドームの活性化策について、予算を見ていると、公費で支える姿勢を強く感じました。例えば、アマチュア大会の利用料金の減免補助は昨年度の当初予算の約3倍で、ドームの活用促進費も約2倍計上されておりまして、事実上の赤字補填にも見えるのですが、そのあたりの考え方を教えてください。

市長

 プレミストドームは全天候型の多目的施設であります。やはりそういう意味では、市民の方に使っていただくということで、これまでもアマチュアの方の利用については、株式会社札幌ドームが、利益の中から補助をしてきたというようなことがあり、市としての支出が少なかったという事になります。

 そこで、今回はアマチュアも含めた、多くの方に気軽に使っていただく環境をつくっていくために、これまでは株式会社札幌ドームが利益を還元する形で、そういった事業費を出してきましたけれども、やはりプラスが出ませんので、利用する方の支援の部分を公共で行おうということです。

 ただ、これは財源という意味では税金を使うということではありません。これまでは株式会社札幌ドームの利益を還元して、札幌市に寄付をいただいてきました。それをスポーツ振興基金という基金の中に積み立てて、令和6年度末で7億円ほどございます。

 今年度のプレミストドーム関連の補助については、株式会社札幌ドームに対する支援ということではなくて、使う人たちが気軽に使えるような支援について、この基金を使って行っていくということです。

 将来的にはこの基金もなくなっていきますので、当然のことながら株式会社札幌ドームには通常の営業活動を頑張っていただく、一方で、市民は高額利用となりますので、それを埋める部分について、基金があるうちは基金を使うと考えていきたいということです。

北海道新聞

GX(グリーントランスフォーメーション)関連について、昨年度の予算とあまりラインナップは変わらないような気もするのですが、何かポイントがありましたら教えてください。

市長

 昨年については、特区申請やいろいろな北海道の取り組みを対外的にアピールしていくことが主眼でした。

 今年の主なものとしては、一つはこれから進んでいく再生可能エネルギーの事業ですとか、GXに関する情報を一元的に発信できるプラットフォームを作ること、それから、例えばこういった事業であれば推奨できる事業なので、それに基づいた金融商品は、(地域にとって)安全であるとかプラスになるとか、そういった判断ができるような認証制度を作っていくことを主眼として進めていきたいと思っています。

 加えて、これまでも実施してきたシンポジウムなど、対外的なアピールについても続けていきたいと思っています。

令和7年度予算・定数・機構編成、令和6年度補正予算案について(5) 

朝日新聞

 子ども医療費助成について、今回高校生までに拡大されたことは市民にとって喜ばしいことなのかなと思う一方で、市民から多く要望のある所得制限の撤廃については今年度も叶わなかったという状況です。他都市では、所得制限の撤廃の動きなどもあります。

 子どもへの支援は、市長にとっても重点政策として掲げられているものの一つかと思うのですが、所得制限についてのお考えをあらためてお聞かせいただけたらと思います。

市長

 他都市でも高校生まで拡大した上で、所得制限の撤廃を行っているところも増えてきました。これらの財源は全て自主財源で行っていかなければならず、国や北海道の支援はありませんので、限りのある自主財源の中で、どれだけ事業に投下していくのかということになります。

 本来であれば、要望の多い所得制限の撤廃も併せてできればいいのですが、やはり全ての事業を行うためには一定の財源が必要になってきます。今年については、まず高校生世代まで拡大させていただきます。

 社会保障の関連費も非常に増えてきておりますし、一般財源の基金の取り崩しも行わなければならない状況ですので、そういった財政状況や、税収がどのぐらい増えるのかといった財源の見通しをしっかり持った上で、次のステップとして所得制限の撤廃などについても議論・検討していきたいと思っております。現時点では、そこまで踏み切れるだけの財源の余力がなかったということです。

eスポーツの世界大会(Apex Legends Global Series Year 4 Championship)について(1) 

朝日新聞

 いよいよ今週(1月29日から2月2日まで)Apexの世界大会が開かれます。これまで、この大会の開催は札幌にとって大きな意味のあることだと発言されていました。あらためて、その意図や開催に当たっての所感を教えてください。

市長

 非常に世界的にファンが多いゲームのeスポーツの世界大会が、アジアで初めて、札幌で開かれます。そういう意味では、札幌がゲームあるいはeスポーツにふさわしい街であることをアピールする本当に絶好の機会だと思っています。

 とりわけ、5日間で3万人以上の方が来場され、ほとんどが道外や海外の方と聞いております。雪まつり前の時期に、札幌に多くの方がいらっしゃることとなり、札幌がeスポーツやゲームの街であるということをアピールできることは非常に大きいと思います。

 札幌にはゲーム関連の制作会社等が数多くあり、毎年いろいろな取り組みも行ってきておりますけれども、札幌でこういう大会が開かれると、ゲームやeスポーツにふさわしいクリエイティブな街だということで、そこで働きたいという若者、地元の子どもたちや道外からも来られるなど、そういう効果も非常に大きいと思っています。

 3~4万人の方がいらっしゃるので、経済効果自体ももちろんありますけれども、札幌の今後のゲーム産業、クリエイティブ産業の進展や人材の確保という意味でも非常に大きいと思っています。

朝日新聞

 誘致の過程においては、市長も関わられたと伺っているのですけれども、どのような意識の下で、誘致に向けてどのような動きを市長としてされたのかというのも教えてください。

市長

 今申し上げたように、札幌にはゲームやeスポーツの制作を行う企業がたくさん集まっており、元々札幌はゲーム産業の発祥の地とも言われています。そういう意味では、そういった歴史・伝統を持った札幌であり、プレミストドームという大きな器があり、多くの来場者が一度に入る会場もあるというようなことなども含めてアピールさせていただいたところです。

 この大会はYouTubeでも配信されます。これまでの大会では、最大で同時に60万人以上の方が視聴されたようですが、今回はそれ以上の方が視聴するだろうと言われております。5日間の開催なので、大変多くの方がこの大会を見ることになります。

 併せて、(大会の)途中に札幌の街の様子の映像を流していただけるということもあるようですので、そういう意味では、札幌をアピールする面でも非常に大きい(効果がある)と感じております。

 札幌としては、ぜひ皆さまの大会をしっかりと受け入れたいということをアピールさせていただいて、そこにご理解いただいたということだと思います。

eスポーツの世界大会(Apex Legends Global Series Year 4 Championship)について(2) 

共同通信

 先ほど、市長からも今後のゲーム産業の進展、人材確保についても非常に大きい(効果がある)というお話がありました。これまでもゲーム関連企業とのイベントの開催などもあったと思うのですけれども、今後ゲーム産業を活性化するための展望や目標などがあれば教えてください。

市長

 一つは、今回のような大会を数多く実施することができれば、よりアピールができるだろうと思います。そういう意味では、制作会社などと一緒に人材の育成に取り組んできたことですとか、札幌が人を確保しやすい、あるいはビジネスがしやすい、いい街だということをアピールしてきたこと、これらに加えて、非常にファン層が多いこういう大会の影響もあらためて大きいと認識しましたので、今後もeスポーツの大会などを積極的に招致していきたいと思っています。

 

この内容については、重複した言葉遣いや、明らかな言い直しがあったものなどを整理した上で作成しています。(作成:札幌市広報課報道係)

 

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