ノロウイルスによる食中毒は、11月から3月の冬期に多く発生します。大規模な集団食中毒も起こりやすく、毎年多くの患者が出ています。
ノロウイルスは感染力が非常に高く、100個以下のウイルスでも感染するといわれます。食品中のノロウイルスを不活化させるには、中心部まで十分に加熱することが必要です。ノロウイルスの汚染のおそれのある二枚貝などの場合には、中心温度85から90℃で90秒以上の加熱が推奨されています。アルコール消毒液による手指消毒を行っている方も多いと思いますが、ノロウイルスにはアルコール消毒だけでは効果が期待できません。手洗いをしっかり行いましょう。
ノロウイルスに感染した場合の主な症状は、吐き気、おう吐、腹痛、下痢、発熱(38度以下)です。風邪と間違えることもありますが、これらの症状がある場合はノロウイルスを疑い、受診することをお勧めします。症状は一般に2~3日で治まりますが、発症後2~3週間程度、ふん便中にノロウイルスを排泄し続けることがあります。また、疾患を持つ小児や入院中・施設入所中の高齢者が死亡した事例もあります。
ノロウイルスは、食品を介して感染する「食中毒」としてだけでなく、人から人へと感染する「感染症」としても注意が必要です。一人一人が正しい知識を身に着け、手洗いの徹底、十分な加熱、洗浄と消毒、排せつ物の処理などの対策をお願いします。