ホーム > まちづくり > 白石区ふるさと会 > 白石区中学生の主張発表会 > 本物の宝物
ここから本文です。
白石中学校3年 佐々木萌花
自分の中にある、心から大切にしている「宝物」にみなさんは、どんな思い入れがありますか。私は、これまで「結果がすべて」という言葉に共感し、信じ続けてきました。しかし、今ではその言葉に反するほど私には伝えたいことがあるのです。
私は、幼い頃から何事にも興味津々で、様々なことに関心が溢れていました。色々なことに挑戦していた小学校時代。その頃、私の友人たちは、美容師を目指したい、警察官、看護師になりたいなどの夢や大切なものを見つけていました。しかし私は、自分の心を動かすようなものにはなかなか出会うことができませんでした。
小学六年生へと進級した頃、テレビでバレーボール日本代表の試合を観ました。その時に私の目に留まった「バレーボール」という競技、オレンジ色の床にボールが落ちそうで落ちない、ボールタッチに重力を感じさせない選手たちがまるで魔法使いのようにも見えました。生まれて初めてやってみたいと強く思いました。
待ち遠しかった中学一年生の春、やっとの思いで入った部活動、バレーボール部。私は一目散に体育館へかけつけました。初めてそれらを目の当たりにしたとき、一気に私の見る世界が一変し、明るい色が数々と浮き出てくるように鮮やかに彩りをみせたのです。「やっと見つけた・・・!」自分が探し続けていたもの、私の心は瞬く間に鷲掴みにされていました。そうして、バレーボールが私にとって「宝物」となったのです。これが、私が追い求めた最初の「結果」なのだと、そう思いました。それだけではなく、この出会いは私に大切な考えを教えてくれました。私が小学生の頃からずっと自分の中の大切なものを探し続けていたという、『宝物を見つけるまでの思いと過程があったからこそ、このような「結果」が生まれたのだ。』とそう思いました。
全てが順調だと思っていました。しかし、今までただただ楽しかったバレーボールは、時が経つにつれ、「楽しい」という感情から少しずつ本気に変わっていくのを自覚していきました。自分が大切にしたかった大切な宝物。それは「楽しい」だけでなく、「強くなること」が必要だと考えるようになり、「悔しい」、「嫉妬」、「焦り」。いくつもの感情が渦になって、私を包んでいきました。いつしか、私の心には大きな「競争心」が芽生えました。私が、ようやく見つけた「宝物」の輝きや彩りが消えていってしまう。だんだんとバレーボールに対する思いが変わってしまうのを恐れて、「やめたい。」「逃げてしまいたい。」そう思うようになりました。何度も挫折を味わい、自分らしさを失ってしまったバレーボールを続けていくことは、とても苦しく、自分にはできないと諦めていました。しかし、自分の心を動かしたあの日から、私が大切にしてきた「宝物」への思いは、そう簡単に私からバレーボールを手放してはくれませんでした。私が歩んできた今までの過程が、私のことを繋ぎ留めてくれたのです。この出来事をきっかけに、「結果がすべて」という言葉の裏腹に、「結果にたどりつくまでの過程と思い」がいつか自分の心を動かすきっかけになると私は気付きました。「たくさんの思い、そして宝物を見つけてからのここまでの過程」こそ、最も大切だと強く思ったのです。
今もなお、困難や多くの不安を抱えながらこれからの進路と真剣に向き合わなくてはなりません。私がまだバレーボールを「手離したくない。」そう思うのはきっと、今まで数多くの「思い」をのせた「過程」があるからだと思います。もし、また立ち止まってしまったとき、私は「過程」を振り返り、自分の手で見つけた宝物への「思い」に「大丈夫。」と声をかけるでしょう。みなさんも、自分の歩んでいく道に迷いが訪れることがあると思います。その時に、先を見据えて未来と向き合っていくことも大切ですが、「結果」が求められるこの時代に、後ろを振り返って、自分が歩んできた「過程」、そして「思い」を大切にすることを忘れないでください。
このページについてのお問い合わせ
Copyright © City of Sapporo All rights Reserved.