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白石市立東中学校3年 佐藤皇我
「なんでこんなにも違いがあるんだろう」
中学2年生の春休みに家族で台湾へ旅行に行った時のことです。市街地を回る観光客用のバスに乗って大通りを走っていると、僕は異様な光景を目にしました。道路を挟んで右側には近未来的なビルが建ち並び、左側には今にも崩れそうなアパートや壁の隙間から葉っぱが出ているような家が並んでいました。同じ空間にある、全く異なる世界に僕は驚きとともに、大きな違和感を感じました。しかし、当時の僕は、そのことをどこか遠い世界のこととして考えていました。
そんなある日、国語の時間に意見文を書く機会がありました。そこで僕は「格差」をテーマに調べてみることにしました。僕が驚いたのは、日本でも教育格差というものが問題になっていることでした。
教育格差とは、本人の選択に関わらず、受けられる教育の機会や質に差が出てしまうという問題です。教育格差の主な原因は「子どもの貧困」と「社会制度」です。
一つ目の「子どもの貧困」について、政府の調査によると、大学に進学する子どの割合が、普通家庭で約73%、ひとり親家庭で約58%、生活保護世帯で約35%なのだそうです。つまり、生まれた家庭によって、行きたい学校に行けなかったり、受けたい教育が受けられなかったりするのです。
そして、「社会制度」について、OECDの調査によると、先進国で比較した場合、日本はなんと37か国中36位なのだそうです。つまり日本は、国の経済力に対して政府が教育費を出す割合が先進国の中でとても少ない国だったのです。
このことから、日本ではそれぞれの家庭が負担する教育費が高いことが分かります。そのため、家庭の経済状況が子どもの教育に大きく影響してしまうのです。
みなさんの中には「格差が生まれるのは努力の差があるからだろう」、そう思う人もいるでしょう。確かに何かをするための環境があるのにも関わらず努力をしない人もいます。しかし、最低限の環境がない人もいます。自分は頑張りたいと思ってもそれができない人もいます。このような人たちにも努力が足らないと言えるのでしょうか。
僕は生まれた環境によってスタートの位置が変わってくるということは問題だと思います。みんなが平等に生きられるような社会にするには、格差の問題は解決していかなければいけない、そう考えるようになりました。
そんな時、社会の授業で社会主義という考え方を知りました。この考え方は、みんなが平等に生きることを目指すものだということが分かり、僕の考えていた意見と同じだと気づきました。しかし、この社会主義は、全てを平等にしたため、働きたい気持ちや、やる気が薄れていくので、この問題は解決しないと思いました。
なので僕は、スタート位置は平等だが、そのあとの人生は努力をした分だけ報われるような社会を作っていくことが大事だと思いました。
しかし、その制度を運用していくのは、僕たち人間です。人が運用する以上は、人を思いやる心も必要になります。この制度と思いやりの心が格差を無くすために必要なのではないかと思います。
ただ、簡単に思いやりの心と言っても人によって違いは出てくるでしょう。だからこそ僕はこのことを提案するだけじゃなく、まずは自分から率先してみんなのお手本になるような行動をしていきたいです。
僕は、世界中のどれだけの人がスタート位置の格差によって夢を追いかけられずに諦めざるをえなかったか、考えるだけで心苦しいです。自分の好きなこと、得意なことで世界に貢献できるかもしれない可能性を秘めた人々が環境のせいで頑張ることさえできない。そんなことはあってはならない、そう思います。
この問題を解決するのはとても難しいです。けれども、みんなの力で、誰もがやりたいことに挑戦できる、格差のない新しい社会を創り上げて行きましょう。
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