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周りの人々から、私がしているカウンセラー(臨床心理士)という仕事についてご質問を受けることが時々あります。今回はそのご質問にお答えするつもりで書いてみようと思います。
仕事との出会い
まず、カウンセラーを目指したきっかけについて。大学1年生の秋に、図書館で一冊の本を手に取りました。2年生から分かれる専攻の希望を決めなくてはいけない時期でしたが、決心がつかず、様々な分野の本をめくっていました。その時に河合隼雄先生のご著書に出会い強く惹かれました。「カウンセラーというのは何とすてきで大切な仕事だろう」と感じ、心理学を専攻することに決めました。
でこぼこ道と訓練
当時はまだカウンセラーの募集は少なく、苦労しましたが何とか就職できました。その後、私生活や仕事上の変化もあったのですが、2000年代に入って北海道に臨床心理士を育てる大学院がようやく出来ましたので、私もほどなく入学し、働きながら通学して2003年春に修了しました。修了後はスーパーヴィジョン(上級カウンセラーの指導)を毎月受けるようになり、現在まで続けています。途中からは必要を感じて教育分析(カウンセラー自身が訓練のために受けるカウンセリング)も受けるようになりました。お蔭さまで2016年には、日本ユング心理学会の認定心理療法士という資格を取得することが出来ました。全国で48人目、北海道ではひとり目になります。
この仕事を続ける理由
何年か前に次のような夢を見ました。「セミナーの参加者が各自、絵を描いている。私の分析家の先生も近くにいて絵を描いておられる。北海道神宮の参道を描くのだが、私は1枚の紙の中にうまく描けない。左隣を見るとAさん(クライアント)が絵を描いておられる。2枚3枚と画用紙を使って、長い参道の様子を描いておられる。それを見て私も『1枚でなく数枚使って描こう』と思い、真似ることにする。Aさんの絵には両側に並木が立っており、縁日の出店や参拝に訪れた人たち等々、穏やかで美しい参道の様子が描かれている」。この夢の理解としては、まず神宮は北海道の独特な精神性を象徴していると思います。約150年に亘り、様々な時期に様々な土地から移り住んだ人々と先住民の人々とが、苦労を重ねて北海道を作ってきました。分析家もAさんも自分も絵を描くというのは、各自が自分の無意識(本人は意識していない心の深層)にも心を開きつつ「個性化」(本当の自分らしい生き方を見つけていくこと)の道を歩んでいることを示していると思います。Aさんの豊かで美しい絵を、私は参考にして真似ています。私にとってカウンセラーの仕事とは、クライアントの個性化に立ち会うことで、自分も学ばせていただき、心をより豊かにさせていただいている営みだと思います。
この道に進んだことは、自分にとって必然でさけられないことであったと感じます。牛のようにゆっくりとした歩みですが、これからもこの個性化の道を歩んで行きたいと思います。
令和元年8月23日
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