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私には、憧れの人がいます。男子フィギュアスケートの羽生結弦選手です。
2014年11月、シーズン初戦となる中国杯、フリースケーティング前の6分間練習で、羽生選手は中国の選手と衝突事故を起こしました。それにより、羽生選手は頭部と顎に怪我を負ってしまいました。私は、「怪我してるんだから欠場したら良いのに!」と信じられない気持ちになりながら、彼のその後の演技を見ていたことを今でも鮮明に覚えています。羽生選手は、見事銀メダルを獲得しました。
元々素晴らしい選手だとは思っていましたが、怪我を押して演技をするその姿を見てから、私は彼の活躍から目が離せなくなってしまいました。
相談を受けていると、子どもたちに対して「そんなに無理しなくて良いのにな」「もっと力を抜いて、頑張らなくても良いのに」と感じることがあります。少しでも楽になってほしいという思いから、そのように伝えることもあります。
でも、「自分だったらどうだろう?」と考えると、必ずしもその声掛けをポジティブに捉えられるとは限らないのではないかと思うのです。
私は、基本的にあまり頑張りません。頑張らないといけない時は頑張るし多少の無理もするけれど、自分の心と体を第一に考えています。やりたくない時はやらない、でも余裕のある時には少しやっておこう、くらいの気楽な姿勢で日々を過ごしています。
だけどそんな私も、羽生選手の姿を見ていると、自分の目標に向けてストイックに頑張るのはとても格好良いことだと感じます。我ながら単純だとは思うのですが、彼の演技を見た後は、「よし、頑張ろう!」と気合が入ります。「羽生選手のような格好良い人間になりたい」という憧れの気持ちなのだなぁと思っています。
そんな時に、「無理しなくて良いのに」「頑張らなくても良いのに」と言われると、私はやる気を削がれたような気持ちになるんじゃないかな?と、ふと考えました。一般的に、「頑張っている人に頑張れと声を掛けてはいけない」と言われていますが、それでは、「頑張らなくて良いんだよ」という言葉が、頑張っている人に掛けるべき言葉なのでしょうか?
私が頑張ることがあるとすれば、それは「私が頑張りたいから」頑張ることです。憧れの彼のように、人一倍欲張りで、ストイックな自分になりたいと思って頑張っているのです。そんな時は「頑張らなくて良いのに」なんて言われたくないから、子どもたちにも、安易にその言葉を言わない人でありたいと考えるようになりました。
「頑張りたい気持ち」も「頑張りたくない気持ち」も、人それぞれ。頑張りたい人のやる気を減らしたくないし、頑張りたくない人を責めたくもありません。「自分はどうしたいのか?」って、考えれば考えるほど分からなくなってしまうものだと思うから、一緒に考えられる大人として寄り添うことが、今の私の目標です。
3月は、世界フィギュアスケート選手権があります。きっと今この瞬間も、羽生選手はストイックに頑張っているのだと思うから、私も彼に少しでも近付けるように頑張りたいと思います。
令和2年3月2日
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