札幌市の図書館 > よもやまとしょかんばなし > 第1回 クニガマエにトと書いて「図書館」と読むのです。
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2010年5月のおはなし
司書資格を取ろうと図書館学を専攻していた学生時代、先生が板書された黒板に、見慣れぬ一字がありました。
はて、「」とは、いったい何ぞや?
図書館という単語には横線も縦線もみっしり詰まっています。
画数が多い。いちいち書くのは正直骨が折れる。なのにこれがまた頻繁に書かなきゃならない文字でして―。
そこで簡略化されたのが、このというわけです。
と書いて、図書館と読ませる。
いわゆる符丁。業界にだけ通用する文字ですね。
□、つまりクニガマエの中に、カタカナのトを書きます。
「ト」は図書館の「ト」です。
や、それだけじゃない。「ト」は「扉」の「ト」ということもできましょうか?
扉(とびら)とは別名:標題紙(ひょうだいし)。
表紙をめくると何も書かれていない紙(見返し)があり、たいていその次にくるのがこの標題紙:扉です。扉には完全な書名があり、著者・編者名があり、出版社名が記載されています。いわば基本データのかなめ。
図書館では本の目録を作る際、表紙でも背表紙でも、奥付(おおむね本の後ろの方にある)でもなく、まずはこのページを開きます。
言いかえるなら本の扉とは、全世界に通ずる「どこでもドア」。
いえね、私は本気でそう思ってるんですよ。
そんなわけで「よもやまばなし」は、札幌の
が「どこでもドア」になれたらと願う有志が交代で執筆します。
どうぞ気楽におつきあいくださいまし。