札幌市の図書館 > よもやまとしょかんばなし > 第26回 もしかしたらの話(レファレンスよもやま)
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更新日:2023年1月26日
2012年10月のおはなし
こんにちは。お久しぶりの図書館ネコ、ちかです。
今回は、うれしかったレファレンスの話をひとつ。
利用者の方からの質問で多いのが、「~という本はありますか?」というものです。
ある主題についての本だったり、「ナントカという人の一番新しい本」だったり…
そんなときには色々とお話をお聞ききして(レファレンス・インタビューといいます)、
できるだけ望んでいた本を手にとってもらえるよう奮闘します。
先日、来館された方は、読みたいものの題名がわかっていました。
さっそく、図書館のデータにあるかどうか検索してみます。
…あれ、ない。
……いえ、正確には古い雑誌の記事がひとつ、ヒットしていました。
ふむふむ。雑誌に掲載されたけれど単行本にはならなかったのかな…。
しょんぼりしましたが、
よく記事を読んでみると、この作品はこの作家さんのデビュー作で、しかもとある文学賞を受賞した作品とのこと。
試しに作家さんの名前で検索してみると、何冊か本がヒットしました。
つまり、いまでは複数の本を出版できるほどの作家さんだということです。
そういう方のデビュー作であれば、出版されている可能性も高い!
そう考えた途端に元気になって、どう探そうか考えました。
この作品は短編のようだから、短編集はどうだろう?
発行年によっては、収録された個別の作品名までは図書館のデータに載っていない短編集もあります。
(ほんとは全部検索できるのが一番なのですが…)
なので、データではわからなくても、実際に本を開いて目次を見ると載っていることもあるんです。
うーん、この作家さんの本は何冊もあるけど、短編集なのか長編なのかデータだけ見ても判別できないなあ。短編小説の目録とかを見て載ってなかったら、書棚に行って一冊ずつ見ていくしかないかな…
あ、そうだ!
雑誌に掲載された作品は、その雑誌の出版社から本になることが多いから…
だったら、出版社で絞り込んでみよう。デビュー作なら、もしかしたら一番最初の本に入っているかもしれない。発行年の古い順に見ていく方が、早くみつかるかも!
念のためにその出版社の本を何冊かメモして、古い順から実物を調べてみたら…最初の本にありました!
「お待たせしました!お探しの作品はこの本に収録されています。貸出できますよ~♪」
無事、ご希望の作品をお渡しすることが出来ました。
こんなにうまくいくことばかりではないんですが、役に立ててうれしかったレファレンスです。
図書館の特徴は、いま本屋さんで売っていない本も保存していることです。
そして、ほんの少ししか手がかりのないことでも「もしかしたら!」と考えられる職員がいることです。
皆さんも、調べ物でピンとこないことがありましたら図書館までお越しください。
ご相談いただくと、意外なところから解決方法が見つかるかもしれません。