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我が国の経済状況は、観光需要の回復や好調な企業収益を背景として、雇用・所得環境が改善しており、個人消費や設備投資の持ち直しなどにより、緩やかな景気回復が続くと期待されております。一方、物価高騰や、海外景気の下振れリスク等の影響については注視する必要があります。
本市の地下鉄、路面電車においては、乗車人員は回復傾向にありつつも、コロナ禍における一般会計からの長期借入れ(軌道整備事業会計)や、特別減収対策企業債(高速電車事業会計)という緊急避難的な債務は依然として残っており、資金繰りについては慎重な対応が求められる状況にあります。
そのような経営状態にあって、都市基盤を担う公営企業として、日々の安全・安心な運行に万全を期するとともに、老朽施設の改修をはじめとする今後の持続可能な経営に向けた取組も、計画的に進めていかなければなりません。
こうした状況に対応するため、令和5年度に見直した経営計画を念頭におき、加えて、乗車人員の回復傾向を踏まえ、既存の経営計画では見込むことのできなかった技術革新や、新たなサービス等への更なる追加投資含め、予算編成するものであります。
以上を踏まえ、令和7年度予算の編成は下記の基本方針に基づいた予算計上を行います。
先の予算編成にあたっての基本的な考え方を踏まえ、令和7年度予算編成における基本方針を以下の4点とします。
札幌市交通事業経営計画における基本となる4つの経営方針、すなわち「安全の確保」・「快適なお客さまサービスの提供」・「まちづくりへの貢献」・「経営力の強化」は引き続き堅持することとし、その実現に必要な事業を着実に行う予算とします。
計画事業等の確実な実施にあたっては、まず財源の確保が肝要です。乗車料収入や附帯事業収入の増加に向けた努力、補助金制度の活用、事業関係者からの負担金の確保など、あらゆる収入の確保を徹底します。
支出については、当該年度における支出はその年度の収入をもって支弁するという会計年度独立の原則に基づくべきものです。そのため、経常経費については、増嵩要因を精査し、可能な限りの節減を行い、計画事業(建設改良費)についても、仕様や実施時期の見直し等を含めた事業費の精査を行うなど、支出の抑制に向けた基本的な対策を徹底します。
好調な企業収益を背景として、賃上げや設備投資の増加等がトレンドとなっている中、他交通事業者においては、追加投資による技術革新や新たな乗車サービスを展開している例も見られます。本市においても、直近の乗車料収入は計画値を超える見込みとなっていることから、持続可能な経営を目的として、計画の見直し時点においては見込むことのできなかったデジタルを活用した技術革新、利用者の視点に立ったサービスアップ、出資団体も含めた労務環境の改善等、昨今の経営環境の変化に対応できるような新たな投資についても検討します。
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