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○インタビューした方:総務管理課長 花ヶ前 裕行さん
○設 立:1993年
○従業員数:479名(男性:128名・女性:351名)
○事業内容:老人福祉事業
○ホームページ:https://www.eiwakai.or.jp/
産前産後休業、育児休業、介護休業の取得時に、社会保障制度や復帰後の働き方についての詳細な説明を行っています。また、職員に対しては、復帰後の働き方について検討し、安心して職場復帰できる体制を構築しています。
例えば、こまめに連絡を取って、お子さんが慣らし保育の際には短時間の勤務体制で、仕事に体が慣れるよう配慮しました。 以前は休業を取得する人も少なく、こちらもノウハウが分からず、そのために辞めてしまう人もいたので、働き方が選択できるよう、シフト対応の可否にかかわらず、入職できるように処遇等を調整しています。
その他には、LGBTQ+の当事者などでも安心して働けるよう、外部から人を招いて勉強会をしたのち、ダイバーシティ関連の内容を職員へ周知することに努めています。多様な考え方を持つ人がいることに、抵抗感は少ないと感じています。
私が初めて育児休業関連を担当した平成19年(2008年)当時は、育児休業を取得した職員が少なく、かつ、周りの職員の理解が得られるかどうか不安に感じている当事者も多くいました。当事者の希望と法人の考え、周囲の職員の想いを調整することが必要でしたので、法人内で育休取得推進の必要性を再認識するとともに、当事者が育休取得の成功例を作っていくための心構えの共有、周囲の職員へ「当たり前」であることの伝達に注力しました。
まず、育児短時間勤務を行った場合、シフト勤務を完全に埋めることは難しいため、育休取得者を見込んだ人材の確保を実施し、当事者の復帰後の業務内容を明確にすることにより、休業も復帰もしやすい環境を整えていきました。ただ、現在は人材確保に苦慮しているのも実情です。また、夜勤業務などに対応できない求職者が増えてきたことなどから、シフト対応の可否に応じた基本給表も作成しました。
幸いなことに女性が多い業種柄なこともあり、職員が多様性への理解を持っていたため、導入自体はスムーズに進んだと思います。一方でプライバシーの保護に関しては課題があったため、そこに対する注意が必要だったのも事実です。また、「多様性への理解」から「当たり前として捉えること」へシフトしていくことに課題を感じています。例えば軽い気持ちで「彼氏(彼女)はいるの?」というような聞き方は避けるとか、定期的に学ぶ機会を設けているところです。
約7割が女性職員なので、女性比率が高く、多くの女性が活躍できていると思いますが、男女にかかわらず、人手不足は痛感しています。制度の導入の背景にも、人材確保がありました。働ける時間は限られていますが、その中でできることは実践してもらっていると思います。復帰率はここ10年以上、100%のため、継続が困難とは感じていません。
例えば子どもに手がかかることが少ない方は早番・遅番、夜勤などを選ぶので、その分基本給が増えるなどの話もします。若い男性などは「今のうちに稼げるだけ稼ぎたいと」と夜勤を増やしたいと相談に来る方もいます。
また、管理業務における職員の制度設計も視野に入れています。女性でも、役職者として働いていた人が産休・育休で復職の際育児とのバランスから一旦役職から退きたいとの相談を受けた場合は、希望に応じることもしますし、育児が落ち着いたタイミングで再び主任職を経てキャリアを積み、管理職候補として勤務している職員もいます。
育児休業、介護休業への周囲の理解が深まり、当事者も周囲の人も「当たり前のこと」として対応していけるようになったと感じています。働く時間についても柔軟に対応できるようになりました。例えば高齢者でも、70歳までは働けるようにしていますし、80代のパートもいます。特別な資格がなくても働けるアシスタント業務で活躍しているシニア層もいます。
また、ダイバーシティ関連の周知により、性別だけでなく、世代間ギャップも含め、様々な考え方があって当たり前との認識が徐々にではあるが広がってきたように感じています。
課題としては、育児と介護に関連した休暇が無給であることや、有給とした場合の人材確保でしょう。また、当事者以外の職員がフォローしている状況があるので、これをどうするかも考える必要があります。「持ちつ持たれつ」とはいえ、産休・育休の当事者をフォローすることが長期間や頻繁になると不公平感を覚える職員が出てくる可能性もあります。何らかの手当やリフレッシュ休暇なども考えなくてはならないと思います。
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